初めてパウンドケーキを作っている夫をみた話
こんにちは、muchacoです。
サヴァ記事人気は、もしや日本の鯖缶ブームに乗っかっているのじゃないか疑惑を持ちつつ暮らしております。
乗っかれるものはヒョイヒョイ乗らせて頂く、そんな身軽な我々を今後ともよろしくお願いいたします。
先日の土日は本当に寒く、初カナダの初寒波を身をもって体験したいわたしは、両日とも外に出ていました。
昨日、夫は「こんな日はお部屋で過ごすに限ります」とハッピーウォームライフをほのめかしておりましたが、そうは問屋が卸しません。
「ぼく、今週末ショートケーキ作りたい!」
そう言ったのは夫です。
「今日はウーバーでお家帰って、明日ダララマにお買い物行こうよ。」
そう言ったのも夫です。
そう、マイナス14度の土曜日、ふらふらと買い物に出かけた我々ですが、寒さと若干の買い物疲れで、肝心なお菓子作りの道具の買い出し(ダララマ:カナダの1$ショップ)を日曜日に回して帰宅したのです。
夫はギラギラとやる気を漲らせていましたが、いかんせん道具がなきゃ作れません。
いや、そもそも本当に1発目がショートケーキ(スポンジケーキ)で大丈夫なんだろうか。
夫のことだから、失敗したら部屋の隅っこで体育座りしてイジイジするのが目に見えています。
そして「お菓子作りなんて無理だったんだ、もうやめておくね」とでも言うのでしょう。
そうなると、せっかく買ったお菓子作り道具も無駄!無駄!無駄!!になってしまう。
カナダ産モヤシが一袋2$もして「ギー!!高いぜっ」と嘆きながら、水を張ったタッパーに保存して少しずつ使っている…そんな我が家の財政状況を考えると「無駄」という言葉に胸がザワつきます。
( ↓ 参考資料 ↓ )
危険回避のためにやること、それはまず敵を知ることです。
「教えてもらったレシピってどんなの?」
「えーとねー、別立てのやつが良いって教えてくれたやつだよ。」
「うちハンドミキサーないから手動だよ。メレンゲってすごい大変だよ(夫には)」
「え、そーなの?でも出来るよ、頑張るよ。」
頑張れば出来る、素晴らしい言葉です。
そんな夫を尊敬したいのは山々ですが、わたしは覚えています。
クリスマスケーキ用の生クリーム六分立てで非常に苦戦していたアナタを。
そんなの比じゃないんだゼ?
「材料はなに使うって書いてあるの?」
「卵と砂糖と薄力粉とバター。あと、コーンスターチだって!」
「へー、コーンスターチ!なんでスポンジケーキには使うんだっけ?」
「あ!!あれじゃない?コーンスターチは香りづけじゃない?」(気づいちゃった!的なお顔)
カ ・ オ ・ リ ・ ヅ ・ ケ
そうそう、そろそろ東京オリッピックだしね、カオリヅケこそが日本の精神。
じゃない。
香りづけじゃないし、そんな君がまず最初に作るのは間違いなくスポンジケーキじゃないことに気づいて欲しい。
敵は夫の清々しいほどのトンチンカンでした。
添わされたスポンジケーキも戸惑いが隠せないことでしょう。
そもそも、わたしにバレンタインプレゼントをするために挑戦しようと思ったお菓子作り。
そんな優しい夫を傷つけないように、それとなくスポンジケーキ作りから目をそらさせ、パウンドケーキやマフィンなどの簡単で美味しそうなレシピを探しては夫に伝える。
「うーん、そっかー、でも1ヶ月後には本番だし、やっぱりショートケーキも作りたいけど‥」
以前より、わたしの嫌いなタイプナンバーワンは「頑固者」と伝えているのに、なかなかの頑固!!
クウーッ
いいから言うことを聞くのじゃ〜!という心の叫びを封印しつつ説得を重ね、ついに、簡単・確実・基礎バッチリのパウンドケーキを作ることに決定しました。(長かった)
その後もナッツを入れようだの、ラム酒漬けのフルーツを作るだの、色々自由な発言がありましたが、そこは安全第一。すべて寒空の彼方に流しておきました。
夫の行く末を見据えて、危険回避策を講じるわたしはなんと良い妻なのでしょう。
前ブログ で「菓子作りを舐めちゃあかん!」と夫に詰め寄る…いかにも恐ろしい妻のように描かれていますが、まったく心外でございます。
そして、もっと舐めてはならぬものがあるのですよ。
そんなわけで、マイナス16度(体感温度マイナス25度)の中、近所のダララマまでザクザク歩いてゴーです。
覚悟していたものの、寒い、いや痛い。
そして、鼻の中の毛が凍ります。
正確には鼻粘膜から出る水分が凍って、息をするとズササササ〜バリッバリって鳴るのです。
(鼻毛だの鼻水だの、淑女たるもの書いてはならぬと思いましてこのような表現で。)
そんな危険なお買い物を経て、いよいよお菓子作りスタート。
その後の惨事は前ブログをご参照いただければ。
決して、ここまでのプロローグが長すぎて、本編を書く気が失せたわけではありません。
写真と共にわたしと夫の会話をざっくりとお送りします。
計量はきちっと!1gも誤るべからず!!
はいっ!
小麦粉ふるいます!
まてっ!!ベーキングパウダーはどうした?
え…一緒にふるうの?まだ測ってないよ?
「粉類」だよ、類!!
バター砂糖と卵が分離するとどうなるの?
‥…どうにもならなくなる。
ぴぇ〜
粉をさくっと混ぜないとどうなるの?
…‥‥‥膨らまない‥‥
ぴぇ〜
えへ、できた
まだや。
はよ、オーブンに入れるのじゃ。
ぺりぺりぺり〜
ウキウキ☆
ふた切れ食べる?食べるよねっ?
ウキウキ♡
色々ありましたが、美味しい紅茶と共に頂く夫のパウンドケーキは美味しく、わたしは危険回避策が功を奏したことに安堵しました。
そして、夫は言いました。
「美味しいね!でもお菓子づくりって本当に大変なんだね。」
そう、慣れていない人にとって、お菓子作りは大変なんです。
レシピ通りにやればいいのではない、まず、レシピ通りに出来るようになることが大事。
なぜ、注意事項を次々と夫に伝えられるのか、先回りして手助けが出来るのか。
それは、全てわたしの失敗からの学びと言えましょう。
物品の代用、準備がおそろか、計量不備、分離、混ぜすぎ、膨らまない。
出来上がったものは一人で食べ切らなければならぬ、レシピの写真とは違う代物。
なんだか想像と違う甘い粉物を黙々と食べるそんな夜。
悲しい夜、切ない夜……モグモグ。
それはもれなくアナタもやらかすだろうということが、わたしには手に取るようにわかるのです。
もっとも舐めてはならぬもの。
それは「お菓子作りでなんども失敗を経験した妻の助言」だとここに断言いたします。
つづく。
muchaco